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『野山の名人秘伝帳』 鹿熊 勤著です。

野山の恵みを暮らしに取り入れ豊かな暮らしをする山村の生き方を紹介しています。

<食べる・楽しむ・自然の恵み>では、

・メープルサップ

・ワラビ採り

・ゼンマイ採り

・松葉サイダー

・ウナギ漁

・スガレ追い

・モクズガニ漁

・クルミ拾い

・キノコ採り

・自然薯掘り

・葛根掘り

・山塩

<ぬくもり伝える、手作りの名人・名品>では、

・きみがらスリッパ

・漆掻き

・しょうぎ作り

・野鍛冶

・籠・漁具作り

・石臼作り

・道芝のわらじ

・松煙墨

・シュロ箒

・神楽面掘り

といろいろ紹介しています。

全国北は青森から南は宮崎県まで歩いて職人の手仕事や農山漁村の暮らしを紹介しています。

私が面白かったのは、「スガレ追い」です。70歳を過ぎた男性たちが少年のようにスズメバチの仲間であるシダクロスズメバチに目印をつけて追いかけ、最後には土の中にできた蜂の巣を掘り当てる。

巣の中の幼虫を取り出し酒の肴にして「スガレ追い」の話に花を咲かせる。

「スガレ」を飼育までしている方がいるというから驚きです。

鹿熊 勤さんが「はじめに」で書いている「おばあさん仮設」なるものもおもしろいです。

人類の女性には閉経という現象があり、子を産まなくなってからの生存期間がかなり長い。おばあさんが自分の子や孫の世話を買って出たがるのは、出産・子育て後も献身を続けることによって一族の生活が安定する、つまり自分の遺伝子をより残りやすくするための本能であるという。

興味深いのは、おばあさんが甲斐甲斐しく世話をする過程でさまざまな知恵や技が蓄積を重ねる形で伝授され、人類はより生存力を高めることができた。

つまりおばあさんの豊かな経験知が原動力になってきたという論である。

う~ん。実にあたっているという思い読むことでした。