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本の見返しには

鳥とのつき合いは、鳥をとりまく自然とのつき合いであり、また鳥や自然とかかわる人とのつき合いでもある。

そこにはいろいろなドラマがあり、刺激に満ちた時間がある。

本書で私は、私がこれまでに見聞きしてきた鳥の世界の驚きや不思議、また鳥を生かす自然の成り立ち、そして鳥にかかわるさまざまな人間模様について紹介していこうと思う。

と記されています。

東京大学出版会から出されているこの本の中には、

・手のひらに乗って餌を啄んでいる雀の話

・子育て真っ最中のカラスの攻撃性の凄さ

・イソヒヨドリのこと。

などが出てきます。

イソヒヨドリといえば徳之島赴任中に巣から落ちたイソヒヨドリの雛を九官鳥の餌を買ってきて育てたことを思い出しました。雛から育てると部屋の中で飛び交い、私の肩に止まったりしてかわいいものです。

私を親と勘違いしているのでしょうね。

・ヤマガラやカラスの「貯食行動」のこと。

・東北地方に住むハシボソガラスは、硬くて大きいクルミを割る方法がすごい。車のタイヤに轢かせて割るというのです。それも赤信号で止まっている車のタイヤの前に置いたり、タイヤが通りそうなところへクルミを置いたりするというから賢いのですね。

クルミ以外でも貝類を車にひかせて食べる北海道のハシボソガラスも確認されているそうです。

ほかにカラスで面白かったことは、「カラスの食文化」です。

・石鹸を咥えて持っていくカラスはただいたずらをしているのかと思ったら、そうではなくて貯食するのだそうです。クラスの胃袋はどうなっているのでしょう。

石鹸のほかにろうそくなども食べるそうです。石鹸の中には牛脂、ヤシ油、オリーブ油などの動植物の油脂が使用されているのでこれを好んで食べているのではと著者の樋口さんは考察しています。

主食ではなくて嗜好品だとされています。

<第1部> 鳥との一期一会

第1章 日々のくらしの中で

第2章 日本と世界の片隅で

<第2部> 鳥のくらしと人のくらし

第3章 人慣れスズメ、急増中

第4章 鳥たちの貯食

第5章 カラスと人の地域食文化

第6章 島の自然と生きものの世界・・・三宅島とのつき合い

第7章 放射能汚染が鳥類の生活に及ぼす影響

<第3部> 世界の自然をつなぐ渡り鳥

第8章 渡り鳥の衛星追跡

第9章 鳥の渡り衛星追跡公開プロジェクト

<第4部> 鳥・人・自然

第10章 これまでの研究生活を振り返って

第11章 若き日の「恩師」エルンスト・マイヤー

第12章 日々のできごとの中の鳥や自然

【著者】 樋口 広芳著

【発行所】 東京大学出版会

【発行日】 2013年5月15日

【定価】 2800円+税